2017年5月13日

【山種美術館「花・Flower・華 -琳派から現代へ-」(東京 広尾)】

春。生命輝く季節です。草花の喜ぶ姿に人々の笑顔があふれます。
今回はアート目線の春として、東京・広尾の山種美術館より、毎年恒例の企画展「花・Flower・華 -琳派から現代へ-」の魅力をお届けしたいと思います。


 場所は東京都渋谷区の広尾(ひろお)。JR山手線・恵比寿駅から徒歩圏内です。日本画専門の美術館で、近代から現代の作品を中心に所蔵しています。所蔵作品には速水御舟(はやみぎょしゅう)、竹内栖鳳(たけうちせいほう)、酒井抱一(さかいほういつ)、横山大観(よこやまたいかん)、加山又造(かやままたぞう)等など、歴史に名を刻む巨匠がズラリです。


 外観はビルの様相ながら、展示室は地下にあります。壁画「千羽鶴(加山又造)」の誘いで階段を降りると、無数の花が咲き誇っていました。


 作者不詳「竹垣紅白梅椿図(たけがきこうはくうめつばきず)」 江戸時代

 渡辺省亭(わたなべせいてい)「桜に雀」 明治-大正時代

 奥村土牛(おくむらとぎゅう)「醍醐(だいご)」 昭和47年
 京都の醍醐寺三宝院の桜を描いた作品です。当館を代表する作品といえば、速水御舟「炎舞」重要文化財、「名樹散椿」重要文化財、竹内栖鳳「班猫」重要文化財、など多数ありますが、当作品もその代表の1つです。【山種美術館コレクション 作品紹介】
 この作品について個人的に面白く思うのは、見るたびに印象が変わることです。淡い桜に光の暖かさを見る時もあれば、現代アートにしか見えない時もあります。ご覧になったあなた、どう映りましたか?

 千住博(せんじゅひろし)「夜桜」 平成13年

 鈴木其一(すずききいつ)「四季花鳥図」 江戸時代
 金色の陽の光に包まれ、草木が輝きます。逆光に美を見出す時に同じく、この景色に立つ喜びを得る作品です。
 個人的な見どころの1つはこの保存状態の良さ。質感に愛情さえ感じます。山種美術館を「近代日本画の宝庫」と私が称する理由の1つです。生まれた時の美しさのまま展示してくださる山種美術館に感謝します。

 田能村直入(たのむらちょくにゅう)「百花(ひゃっか)」 明治2年
 当企画展のリーフレットにも用いられている、実に緻密でリアルな作品です。感覚は日本ながら、描き方には西洋も感じます。秋田で出会った秋田蘭画(あきたらんが)や、福島で出会ったルドゥーテボタニカルアートに触れた気がしました。まぁ、欧米列強に対峙する幕末・明治期の作品ですから、超絶技巧や西洋風な描き方など、時代が現れているだけかもしれません。


  酒井抱一(さかいほういつ)など、掛軸の逸品が多数展示されています。

 酒井抱一「月梅図(げつばいず)」 江戸時代
 なんとも見事な構図。大好きな抱一の作品です。当館では「1作品撮影可能」という取り組みを実施中で、今回はこの作品が選ばれています。歴史的巨匠の逸品を是非に写真に収めてみて下さい。

  1階の「Cafe椿」では、会期中の展覧会にちなんだ和菓子が用意されています。生菓子それぞれが、作品1つ1つをモチーフとしたものです。お茶のお稽古の際とはまた違った楽しみがここにはあります。

 展覧会の関連グッズを扱うショップです。 

 ギャラリートーク中の山﨑館長です。

 今回は当企画展の内覧会の為、山﨑館長によるギャラリートークのほか、山下裕二先生 (山種美術館顧問・明治学院大学教授)による見どころ紹介がありました(作品は許可を得て撮影)。見るに美しく、知るに深い当展覧会。美術館でのお花見を是非にお楽しみ下さい。


【企画展「花・Flower・華 -琳派から現代へ-」】
【会期・開館時間】
・2017年4月22日(土)~6月18日(日)
・10:00~17:00(入館は16:30まで)
【休館日】
・月曜日

【山種美術館(やまたねびじゅつかん)】
〒150-0012
・東京都渋谷区広尾3-12-36 【map】
・TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
【開館時間】
・10:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)
※特別展の開館時間は変更になることもあります
【休館日】
・毎週月曜日(祝日は開館、翌日火曜日は休館)
・展示替え期間
・年末年始
【観覧料(通常展)】
・1000円(大人)
・800円(大学生・高校生)
【観覧料(特別展)】
※展覧会により異なります
【割引券】
ホームページ割引券
【アクセス】
・JR恵比寿駅西口より徒歩10分 【アクセスmap】
・東京メトロ日比谷線恵比寿駅 2番出口より徒歩約10分

0 件のコメント:

コメントを投稿