2013年8月17日

【ArtFM 岩手県立美術館(岩手県盛岡市)】

盛岡市の岩手県立美術館へ行った。

館内が長い曲線を描く当館、
その奥行きに冷たいカッコ良さを感じる。

見たのは常設の舟越保武の彫刻、
松本竣介、萬鉄五郎の絵画等で、
岩手所縁の巨匠の作品が多数並ぶ。

特に当館で出会って1年半、
舟越保武「聖セシリア」には、
忘れかけていた恋心に火が灯る思いがした。

/スグル

 岩手県立美術館の建屋です。正面から見ると、美術館というより企業の研究所か半導体の工場かのように思えます。以前、半導体関連装置メーカーの技術営業をしていたからでしょうが。
 訪問は今回が2度目。岩手へはお邪魔することが多く、既に多くの美術館を巡った為、久々に岩手を代表する当館へお邪魔することにしました。

 入口近くです。

 館内のグランド・ギャラリーです。エントランスからはこのような光景が広がっています。建屋が長くゆるやかに曲がっていることで、奥行きが永遠にさえ思えます。

 この光景、都市的で冷たいのですが、巨大なデザインのようでかっこ良く思えます。私はレンピッカを思い浮かべていました。(レンピッカの画像検索

 グランド・ギャラリーの奥にはピアノがありました。演奏を是非に聴いてみたいものです。


 館内でこんな光景を見つけました。「光の滝」でしょうか。全く目立たない場所にあるので、その効果を狙って作ったわけではきっとないと思いますが、心をつかむ光景でした。


 松本竣介・舟越保武展示室です。画家の松本竣介(まつもとしゅんすけ)と彫刻家の舟越保武(ふなこしやすたけ)は岩手県立盛岡中学校(現岩手県立盛岡第一高等学校)の同期生で、上京後に交友が始まり、親友となりました。その両巨匠の作品が1つの展示室に並べられています。
 舟越保武の作品は日本全国の美術館で眺めることができますし、松本竣介の作品も昨年の巡回展(島根県立美術館など)や、群馬県の大川美術館で拝見したりしましたが、1年半前に当館で確認したこの交友関係の事はすっかり忘れてしまっていました。

 松本竣介の代表作の1つ、「Y市の橋」です。

 松本竣介「人」です。

 同じ展示室内に舟越保武の彫刻が並びます。

 私の大好きな作品、舟越保武「聖セシリア」です。前回のレポートで「かなわぬお方に恋をした」というようなことを書きましたが、その恋心に再び火を灯す美しいお姿でした。

 熱心なカトリック信者であった舟越保武。全国の美術館で拝見するその作品のほとんどはキリスト教関連の聖人で、こちらの聖セシリア(聖カエキリア)も音楽家と盲人の守護聖人です。Wikipediaによると、「斬首刀の三打を耐え抜いて死刑を中止されその後3日間生き延びた」とあります。壮絶ですね。
 私の私見ですが、当作品「聖セシリア」は見る方向によって雰囲気が変わります。横顔は清楚な乙女で、恋心を抱かせるものですが、正面はキリストのお姿のようです。この写真と一つ前の写真とを見比べてみて下さい。
Wikipedia「聖カエキリア(聖セシリア)」
 聖人カレンダー「聖セシリアおとめ殉教者」

 舟越保武「原の城」です。天草四郎を中心とした島原の乱を題材にした作品で、勃発した原城(はらじょう 長崎県南島原市)をその名としています。

 この「原の城」は舟越保武の代表作の1つで、他の美術館でも拝見することができます。私は、茨城県の笠間日動美術館と宮城県の宮城県美術館で拝見しました。
 
 
 長崎26殉教者記念像より4体です。2012年11月に日本二十六聖人殉教地(長崎県長崎市)の当作品26体全て(日本二十六聖人記念碑)を拝見してきましたが、長崎の作品はブロンズ製で、当館の作品は合成樹脂製でした。少々雰囲気が違います。

 舟越保武「聖マリア・マグダレナ」です。


 砂岩(諫早石)製の彫刻、舟越保武「聖ベロニカ」です。

 大理石製、舟越保武「R嬢」です。材が違うと、雰囲気がかなり変わってきますよね。

 こちらは、舟越保武の息子さんの、巨匠 舟越桂(ふなこしかつら)「冬の会話」です。別の常設展示室で展示されていました。舟越桂さんの作品も、お父さんに負けず劣らずかなり多くの美術館で出会うことができます。

 こちらは、萬鐵五郎展示室です。

 萬鐵五郎(よろずてつごろう)の逸品、「赤い目の自画像」です。かなり好きな作品で、今回も見事足止めをくらいました。以前は圧倒されるのが主でしたが、失礼ながら今回は、その自虐的なコミカルさを少し感じ、楽しむこともできました。

 美術館の近くからの眺めです。百名山「岩手山」を望みます。

 盛岡駅に立ち寄る際にはいつもいただく冷麺です。駅前の焼肉屋「盛楼閣(せいろうかく)」の盛岡冷麺。お値段は900円です。

 さて、電車です。行きは新型秋田新幹線「E6系 スーパーこまち」で向かいました。正しくは、秋田の帰りに盛岡によったんですけどね。新幹線を山手線並に使っているので、途中下車はいつも県をまたぎます。

 帰りは「E5系 はやぶさ」です。

【岩手県立美術館】
〒020-0866
・岩手県盛岡市本宮字松幅12-3 【map】
・TEL:019-658-1711
【開館時間】
・9:30~18:00(入館は17:30まで)
【休館日】
・月曜日(ただし月曜日が祝日、振替休日の場合は開館し、直後の平日に休館)
・年末年始(12月29日から翌年1月2日まで)
【観覧料(常設展)】
・400円(一般)
・300円(学生)
・•企画展はその都度変わります(企画展の観覧券で常設展も観覧可)
・盛岡駅西口より徒歩約15分
※もう少し余分をみましょう。私が歩いた感じ、20分少々です。
・盛岡駅西口よりタクシーで約5分
※盛岡駅東口よりバスで向かう方法もあります。詳しくはリンク先を参照

 お子さまがあまり乗り気でなさそうなこの看板(看板の左の絵のことです)、盛岡駅から美術館へ徒歩で向かう際に出会います。この看板を目印に近道を通って向かって下さい。

0 件のコメント:

コメントを投稿