2013年10月29日

【ArtFM 愛媛県美術館(愛媛県松山市)】

松山市の愛媛県美術館へ行った。

日本三大平山城、松山城堀之内に位置する当館、
中庭の緑が大水槽のようで面白い。

見たのは主に新所蔵品で、
現代の作家を中心に100点程が並ぶ。

中でも、伝統の装飾美に
アクションペインティングが同居する福井江太郎の作品には、
命の輝きと共に、散りの美学まで感じた。

/スグル
 今回の1枚目は愛媛県美術館の建屋内から眺める中庭の緑です。樹の幹を緑が覆っている上に、ガラスが大変に大きく四角いため、水槽の中の水草のように見えます。波に揺らめくわけじゃないですけど、大変心地いいです。
 完全に余談ですが、沖縄美ら海水族館の大水槽は、さらにさらにデカイですよ。

 松山城の堀の内(城山公園)に位置する、愛媛県美術館の建屋です。かなり大型の館で、ド~ンとした存在感があります。パンフレットによると、「城郭の景観と調和させて建築した」とありますが、いかがでしょう?


 美術館の前からの松山城天守の眺めです。この通り、山の上に位置します。きっと眺めは最高でしょうね。
 この松山城は、日本100名城日本三大平山城の1つであり、日本で12か所しか残っていない江戸時代以前に建造された天守を有する城郭です(現存天守, 現存12天守)。「美しい日本の歴史的風土100選」に選ばれています。また、ミシュランガイド2つ星でもあるそうです。


 この通り、愛媛県美術館の館内からも松山城を眺めることができます。

 ガラスが縦にかなり大きく、眺めが大変にいい館です。


 再び中庭です。

 2階から眺めてもこの通り、水槽のようです。


 福井江太郎「蓮(SILENT FLOWER)」です(※当画像はネットより拝借)。
 光りあふれる空間に、数多くの菖蒲(しょうぶ)がアクションペインティングの様な荒さで描かれています。色的には、背景の金と花の青が強烈です。尾形光琳の燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)を思い浮かべる方も多いと思いますが、その通り、琳派の装飾美や様式の印象があります。

 こちらは、別の作品であり、当館の所蔵でもありませんが、「蓮」の表現を見えるようにするために載せました(※当画像はネットより拝借)。眩い光に包まれる中、命を燃やし、周囲を自らの色に染めています。「散りの美学」にも思えました。

 福井江太郎「流」です(※当画像はネットより拝借)。こちらもまたすごくいい!

 宇和島出身で在住、松本秀一の版画「蟷螂1」の一部です(※当画像はネットより拝借)。
 今回、心惹かれた作品の1つです。闇の中で命が光を放っています。捕食する存在ながら、どこか はかない感じです。以前から思っていたのですが、カマキリは何かと寂しく描かれることが多いように思います。イカツイ存在でありながら線が細いというコントラストや、捕食する姿と寒さに命を散らす姿のコントラストなどが理由かなぁと思っています。

 愛媛県美術館に訪問したのは2013年春。その際、特別展として「特撮博物館 -ミニチュアで見る昭和平成の技-」が開催されていました。東京での開催時は混雑しているということで訪問を見送っていたのですが、こちらでは余裕。満喫です。
 この写真は、「特撮スタジオ ミニチュアステージ」で撮影しました。東京タワーはもちろん、建物やら看板やら車両やら、全てミニチュアです。しかし、その臨場感がたまりません。細くまで精巧に作りこまれているというのもその理由でしょうが、心(気合?)が臨場感を増しているのだと思います。
 ミニチュアながら臨場感がある。これを別に例えるなら、「盆栽」のような感じでしょうか。盆栽の良し悪しの基準の一つは「臨場感(大木として見えるかどうか)」だからです。そう考えると、ミニチュア・特撮も、伝統技能であり、日本の文化なのかもしれません。

 「特撮スタジオ ミニチュアステージ」の全体像の一部です。背景の青空以外はミニチュアで構成されています。全体的に日本の職人技満載です。特にこの右下の部屋が凄かった。

 右下の部屋です。
 
 片付けたい。生活感あふれる職人技のミニチュアに、半分流れるA型の血が騒ぎました。

 拡大してみていただきたいこの精巧さ。職人芸です。その造形、そして散らかり具合には心を感じます。ぜひご覧頂きたい展覧会です。
 なお、この特別展「特撮博物館」は巡回展化しており、巡回第1弾が当館(2013年4月3日~6月23日)、第2弾が新潟県立近代美術館(2013年11月8日~2014年1月21日)です。松山での開催は終わりましたが、新潟はこれから楽しむことができます。どうぞご覧下さい。

 愛媛県美術館へのアクセス方法は、路面電車か徒歩です。JR松山駅から徒歩で約15分、伊予鉄松山市駅から徒歩で約10分の距離なので、路面電車を使う必要はないかもしれません。が、せっかくなので、「1Dayチケット(400円)」を購入するなどして乗車しましょう。道後温泉に向かうにも便利です。(詳しくは下記「アクセス」欄を参照)

【愛媛県美術館】
〒790-0007
・愛媛県松山市堀之内 【map】
※所在地はこれだけです。これだけで郵便物が届きます。おそらく、日本の美術館中で最短の所在地ではないかと思います。
・089-932-0010
【開館時間】
・9:40~18:00(入室は17:30まで)
【休館日】
・毎週月曜日(祝日及び振替休日に当たる場合はその翌日)
・ただし毎月第1月曜日は開館、翌火曜日が休館
・年末年始(12月29日~1月3日)
【常設展観覧料】
・300円(大人)
・200円(大学生)
・企画展チケットをお持ちの方は常設展観覧料が無料となります
【企画展観覧料】
・その都度定めます
【アクセス】
・JR松山駅前から市内電車(路面電車)で5分
 「南堀端 愛媛県美術館前」下車、徒歩1分
※googleマップによると、JR松山駅から徒歩でも約15分だそうです。
※伊予鉄松山市駅からは、徒歩約8分です。私は実際に歩きましたが、10分程度で着きました。
※路面電車の運賃は、松山市内線 大人一律150円、「1Dayチケット」400円です。

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