2013年1月23日

【ArtFM 石川県立美術館「寺井直次の漆の美」(石川県金沢市)】

金沢市の石川県立美術館へ行った。

兼六園すぐそばの当館、
名園以上の輝きを一級の所蔵品群が放つ。

前回歓喜、仁清の国宝「色絵雉香炉」には当然張付ながら、
新たに雪舟、探幽、宮本三郎、
寺井直次、百工比照等々、逸品がズラリ。

まだまだある国宝・重文も含め、
芸術の街の歴史の重みを感じた。

/アートツアラースグル
(館の正面です。
前回訪問時は雨、かつ、
雨厳禁のコンデジだったので
ほとんど撮影出来ませんでしたが、
今回は余裕を持って
撮影することができました。) 

(館内です。
年配の方のゆっくりする姿がチラホラ。
なんとなく、
市民病院か??と思いました。
まぁ、ゆっくり時間を過ごす場所が
美術館だということに
羨ましさも感じます。
やはり芸術の街ですね。) 

(レポート中では
寺井直次、雪舟など全てを
当館所蔵の様に記載しましたが、
厳密に言うと違うそうです。
当館には展示室が10室程もあるのですが、
そのうちの一室が
「前田育徳会尊経閣文庫」と
表示されています。
こちらは、加賀藩前田家伝来の品などを所蔵する
前田育徳会の展示スペースです。
で、その前田育徳会が館とは別組織だそうで、
所蔵先が違うということになります。
ただ、コレクション展の一般入館料350円で
双方拝見できるし、
レポートに文字数制限もあるということで、
1つにまとめて書きました。
訪問の際は、それぞれ
お楽しみ頂ければと思います。
ちなみに、レポート中の
雪舟、狩野探幽、百工比照が
前田育徳会の所蔵です。
前田育徳会は
国宝22点、重文76点、
計98点も所蔵しています。

そうそう、その所蔵品の1つ
百工比照(ひゃっこうひしょう)、
名だけでは何か分からないですよね。
工芸全般の集大成で、
加賀藩五代藩主前田綱紀が
収集・整理・分類した工芸資料の事です。
その名「百工比照」は前田綱紀によるもので、
百工:諸種の工芸・工匠
比照:比較・対照する
という意味だそうです。
ちなみに、資料といっても紙の説明書ではなく、
言わば、「工芸技術のサンプル集」
といった感じで、
釘隠(くぎかくし)、引手(ひきて)、
寿帯鳥(じゅたいちょう)等々、さまざまな技が
サンプルとして納められています。
優れたデザインと驚異的な技工に
感激しまくりでした。) 

(館内より外の眺めです。
ゆっくりしたくなりますよね。) 

(当館名物、野々村仁清の
国宝「色絵雉香炉」と、
重文「色絵雌雉香炉」です。
前回は存在を知らずに訪問したため
出現に相当に驚きましたが、
今回はじっくりと楽しむ事ができました。
余談ですが、
国宝の焼物で、日本国内産のものは
大変希少です。
たった5点しかありません。
私はこの2年間で、
うち、4点を拝見しました。
【サンリツ服部美術館 本阿弥光悦「不二山」】
あ、1点、レポートを書いてない・・
※当画像はネットより拝借)

(宮本三郎
「舞妓十二題集」のうち「お点前」です。
惹きつけられたまま、
しばらく眺めてしまいました。
どことなしに感じる子供っぽさに
大人っぽい落ち着きや仕草の色気。
安定した構図やデッサン・色の美しさ。
う~ん、たまらん。
※当画像はネットより拝借)

(寺井直次(人間国宝)「蒔絵箱 鳴き渡る」です。
当館の展示室の1つが
工芸品の展示室でして、
今回は「寺井直次の漆の美」が
開催されていました。
寺井直次さんの作品で特徴的なのは
白が多用されていることです。
この白、細かく砕かれた卵殻で、
漆の深い黒の中で
浮かび上がって見えます。
山下清のちぎり絵の良さを
内包している感じがまたいいです。
加えて私が感じた特徴は、
この作品では分かりにくいものの、
螺鈿が恐ろしく裏方で、
引き立て役に回っているという事でして、
すごく面白いなぁと感じました。
主役級の役者が脇役で
庶民的で見過ごされてそうな役者が主役。
いやぁ面白いなぁ。
※当画像はネットより拝借)

(鴨居玲「1982年 私」です。
バロックというか
後の時代のゴヤのような不気味さと、
中心に描かれたキャンバスに
強烈な引力を感じます。
これまた強く強く惹かれました。
あのキャンバス、
自らが映る鏡ですよね。
見つめもしたくしますし、
背けもしたくなります。
引き込まれるにとどまらず、
中に閉じ込められてしまう感じさえしました。
帰宅後に調べた情報によると、
鴨居玲さんは金沢出身で、
師匠は宮本三郎さん、
1985年に神戸で排ガス自殺、
という方だそうです。
※当画像はネットより拝借)

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