2013年4月19日

【ArtFM フィリア美術館(山梨県北杜市)】

山梨県北杜市のフィリア美術館へ行った。

甲斐駒が心地よく映る当館、
別荘のような建屋が聖なる空気を包む。

展示の主は重ぉいケーテ・コルヴィッツ等と、
収蔵品、渡辺禎雄のコミカル聖書画等で、
表現の寒暖が激しい。

特に「母たち」が意識させる命と
館の信仰の暖かさには、
光の明暗、強いコントラストを感じた。

/スグル
 フィリア美術館より望む、甲斐駒ヶ岳(通称、甲斐駒)です。勇姿と呼べる強さがあります。山梨の中央線沿いでは最も目立つ山です。

 フィリア美術館の建屋です。裏面から撮影しています。

 こちらは入り口です。パッと見た感じ、期待が高まる館というわけではありませんが、中には心を揺さぶる作品がいくつもあります。
 レポートでは「聖なる空気」と表現しました。これはすなわち、当館はクリスチャンの色を持つということです。職員さんに伺うと、オーナーがクリスチャン、プロテスタントなのだとか。展示作品の多くも信仰に沿っています。
 館内にはパイプオルガンもあり、演奏会も開催されるそうです。だからと言って、極端な宗教色はなく、優しい雰囲気を持つ館です。信心深さが微塵もない私ながら、いつかはプロテスタントに改宗する身なので、その時には再度訪れてみようと思います。
 ちなみに当館は、2005年12月31日のNHK紅白歌合戦にて、終戦60週年記念として、吉永小百合さんの原爆詩の朗読が行われた場でもあります。その場にこそ いたかったなぁ(笑)。
 
 渡辺禎雄(わたなべさだお)「最後の晩餐」です(※当画像はネットより拝借)。
 現物に比べ画像が悪いのですが、私の書いた「コミカル」さは伝わるかと思い、載せました。使徒の表情や机に並ぶもの、それぞれコミカルです。キリスト教の世界が絵本のように浸透してきます。
 なお、渡辺禎雄さんは漫画家などではなく、私の大好きな芹沢けい介を師とする版画家です。芹沢けい介に同じく、型染版画を手法とします。作品を拝見した際、棟方志功と芹沢けい介とステンドグラスを足して割った感じだと思っていましたが、その一部は合っていました。芹沢けい介の技法やいいところをきっちり受け継ぎつつ、自身の世界観を表現する、いい師弟関係ですね。 
 なお、渡辺禎雄を拝見できる収蔵品展は、冬から春にかけての定番企画なのだそうです。今年は2012年10月6日から2013年4月16日まで展示されていました。2013年4月27日からは別の作品が展示されます。

 ケーテ・コルヴィッツ「母たち」です(※当画像はネットより拝借)。木版画の当作品、輪郭もコントラストも明確で、極めて重ぉく感じます。「母たち」なので、親の強い意識がカタマリとして表現されているのでしょう。生物としてのヒト、命・死も意識させられる作品です。

 ケーテ・コルヴィッツ「母と二人の子」です。こちらは当館ではなく、新潟県立近代美術館の所蔵品で、新潟県長岡市にお邪魔した際に撮ったものですが、参考として載せました。
 当作品、「母たち」と"カタマリ感"が同じで、強烈な親の愛を感じさせられます。ケーテ・コルヴィッツに双子の孫ができた際に作られたものなのですが、すでにこの時、子供の一人を戦争で失っていました。両作品共に、子供や孫への愛や悲しみがギュッと詰まっているようです。

〒408-0041
・山梨県北杜市小淵沢町上笹尾3476-76 【map】
・TEL FAX:0551-36-4221
【開館時間】
・9:30~17:00
・10:00~16:00(冬期:11月~4月)
【休館日】
・水曜日(水曜日が祝日の場合はその翌日)
・展示替え期間(直近で言えば、2013年4月17日から26日まで休館)
【入館料】
・500円
・JR中央線小淵沢駅下車 徒歩20分
googleマップによると、徒歩26分と表示されました。私はレンタカーでしたのでどちらが正しいかよくわかりません。
※駅前にレンタカーがあります。3時間で3150円。ガス代については、車返却時に距離計算で精算したところ180円(9km)でした(中村キース・ヘリング美術館への道程も含みます)。
※駅レンタカー東日本 小淵沢営業所 tel.0551-36-4453
・JR中央線小淵沢駅下車 タクシー 5分

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